英語・日本語、コンテキストの違い – TCP/IPのジョーク

はてなでこんな記事を見つけました。

https://anond.hatelabo.jp/20180118120333

英語、日本語、そしてコンテキストの違いがミスコミュニケーションを誘発するいい例だったので、ちょっと考察してみました。

適切に理解するには前提となるネットワークの知識が必要ですので
世界を股にかけるエンジニアが解説していきたいと思います。

まず、インターネットで使われるプロトコル(おしゃべりの仕方)であるTCPUDPの違いを理解する必要があります。ざっくり以下のような感じです。

TCP: 通信相手と接続を確立して、データ送信元に受け取ったか(肯定応答)を返し届いたかを確認する方式
UDP: 
通信相手と接続を確立せず、一方的に送りつけて、届いたかは確認しない方式

郵便に例えるならば、前者は書留郵便、後者は郵便ハガキといったところでしょうか。

そこで記事に戻ります。

ATCP/IPのジョークを聞きたい?」

B「もちろん!TCP/IPのジョークを聞きたいです」

ATCP/IPのジョークを聞く準備はOK?

BTCP/IPのジョークを聞く準備が出来ました」

上のABの会話で、いちいちBはAに対して肯定的に届いた内容を返していますね。
TCP/IPのプロトコルでジョークをやりとりするとこうなるのか。こりゃあおもしろい。うははは。

全然面白くないけど、どうやらそういうことのようです。

うーんなんか変ということで、よくよく調べていくと元ネタがあるようで、これはその訳のコピペのようです。
こちらがその元ネタ。

TCP/IPのジョークがあるよと(自然に)突然twitterでつぶやき、何か語ると思わせておいて、
リアルな人間二人が単なる肯定応答を交えた会話を、”twitter上”で”ネットワーク越し”に行っています。それが人の会話なのにTCP/IPみたいだ。うははは。というジョークです。

確かに意味がわかるとちょっとクスッとなります。
つまり、

前者:プロトコルの擬人化のジョーク
後者:リアルな人の会話をネットワークプロトコルのように見せるジョーク

文章の内容が同じでも、書かれる言語の違い、貼り付け方、コンテキストの違いによって、笑いの性質も大きく異なってしまいます。
文字で行う会話がズレてしまってうまく伝わらないという好例です。

ちなみに元ネタは最後も

 This image is a TCP/IP Joke.  This tweet is a UDP joke.  I don’t care if you get it.

これはUDP joke(投げっぱなし)なので、おまえらが意味がわかったかなんて知らねえよ。
というこちらもウィットに富んだツイートになっています。

バイリンガルとメタ言語

日本語を話す日本人が思考をするとき、それは日本語で行われるというのが定説である。それゆえに外国語である英語をペラペラ話せるようになりたければ、まず英語で考えなさいと唱える参考書も多い。
一方で、スティーブン・ピンカーは著書で、思考は言語に先行すると説く。人間の脳にはメタ言語のような抽象言語が存在し、(話し言葉としての)言語に全く依存しないという説である。たしかに、もし思考がすべて言葉により行われるものであるならば、その言語の語彙にない事象・現象は認識はできないことになる。英語におけるlook, see, watch, gazeはすべて日本語の「見る」だが、日本人が「直視して見る」、「(目に入ったものを)見る」、「注意して見る」、「じっと見る」といった概念を統一的に扱っているということになるが、それは当然否である。ただその一方で、「けちょんけちょん」、「ぐでんぐでん」といった日本語特有の擬態語を、非日本語話者が言語情報なしに思考のみで想起できるかというと疑問であり、結局のところ言語と思考は相互に密接に絡んでいるというべきなのであろう。

バイリンガルを目指し、子供に早期の英語教育をすることが、個人の思考はたまた人格にどういった影響を与えるのか、また正しい言語獲得プロセスとはそもそも何なのか、そんなことを考える通勤電車の中でこのような駄文を書いた。